2023年1月20日、東京体育館で行われた「天皇杯車いすバスケットボール選手権大会」Game1宮城MAXvs千葉ホークスの一戦をスタッツと戦略から分析!
試合概要
大会名:天皇杯第48回日本車いすバスケットボール選手権大会
日時:2023年1月20日
場所:東京体育館
対戦カード:宮城MAX(東北)vs千葉ホークス(関東)
実況・解説:喜谷知純・橘香織
対戦カードを簡単に紹介
・2008年より大会11連覇を成し遂げた東北の強豪チーム
・今回からメンバーが入れ替わり新生”宮城MAX”として出場
・過去に日本代表メンバーを輩出(藤本怜央、藤井新悟、豊島英など)
・今大会、萩野真世は選手兼ACとして出場
・過去、天皇杯(旧:内閣総理大臣杯)11回の優勝記録を持つ関東の強豪チーム
・高崎大会を優勝し、ワイルドカードとして今大会出場
・2020東京パラ日本代表の川原凛が在籍
・スピードと高さを生かしたバスケットを展開
スタッツ分析
Total | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | |
宮城MAX | 36 | 11 | 12 | 4 | 9 |
千葉ホークス | 57 | 18 | 17 | 12 | 10 |
宮城MAX | 千葉ホークス | |
PTS | 36 | 57 |
FG | 13 / 50 (26%) | 26 / 65 (40%) |
3P | 2 / 13 (15%) | 1 / 7 (14%) |
FT | 4 / 9 (44%) | 2 / 3 (66%) |
AST | 11 | 20 |
REB(OR/DR) | 34(8 / 26) | 50(14 / 36) |
BLK | 0 | 0 |
STL | 4 | 6 |
TO | 11 | 13 |
PF | 9 | 14 |
宮城MAX | 千葉ホークス | |
PPP | 0.46 | 0.66 |
POSS | 77.96 | 86.32 |
eFG% | 25.4% | 38.2% |
TO% | 14.1% | 15.1% |
FTR | 14.3% | 4.2% |
ORB% | 18.2% | 28.0% |
DRB% | 76.5% | 72.0% |
TRB% | 40.5% | 59.5% |
※4Factorについて知りたい方ははこちらをお読みください。
プレー分析と解説
▼宮城MAXセットプレー▼
▼宮城MAXセットプレー②▼
【解説】
セットプレー①②ともにシューターである選手が3ポイントを狙うのがファーストオプション
そのために相手ディフェンスのボールマンプレッシャーをさせないために味方選手が壁となる。
(この場合は、#22五十嵐と#55佐藤が壁役である)
①は3ポイントを放った形である。
②は動きは同じだが、ベースライン付近に位置している伊藤をマークしているディフェンスがオーバーヘルプのポジション取りだったため、カウンターとしてボールマンはパスをして伊藤がミドルショットを決めた形。
▼千葉ホークスセットプレー▼
【解説】
宮城MAXとは対照的に千葉ホークスは高さを活かしたセットプレー
高さのある選手をトップのポジションに置き、速さのある選手をベースラインに置く。
ここでは植木がアップスクリーンを仕掛けて、山口がペイントアタックして得点した形である。
▼千葉ホークス アーリーオフェンス①▼
▼千葉ホークス アーリーオフェンス②▼
【解説】
千葉ホークスの特徴である素早いトランジションからのアーリーオフェンス。
ディフェンスリバウンドからの切り替えが早く、ボールプッシュとクロスを用いてあっという間にバスケットへ攻め込む。
得点の決め手となったフィニッシュの形は、①川原と千脇のローシールプレー。②池田のボールサイドカットからのレイアップ。
▼伊藤のAND1!▼
▼千葉ホークスGoodDef▼
分析まとめ
新生”宮城MAX”の初舞台と古豪復活の千葉ホークスはは36対57でホークスの勝利。
ホークスは、チームの特徴であるトランジションバスケとダブルセンター・トリプルセンターのラインナップで選手層の厚みを生かした。
チームFGは40%(26/65)と高確率。
特に攻撃のファーストオプションである池田が23得点とスコアリーダーとして躍動。
アウトサイド・インサイドの両面でショットを決めた。
ディフェンス面では激しいボールマンプレッシャーやマッチアップ/スイッチで対応して相手のターンオーバーまたはスティールで攻撃権を奪い、POSSで優位に立った。
残念ながら連覇が途絶えてしまった宮城MAXはチームFGが26%(13/50)と低調。
車いすバスケではより難しさが増す3ポイントも15%(2/13)とショットが決まらず、波に乗れなかった。
ただ、その中でも選手兼ACと難しい役割の中、萩野が10得点。同じくキャプテンの佐藤(裕)も10得点・10リバウンドとダブルダブルの活躍。
「フリーになれば迷わず打つ」といった具合の思い切りの良さでアウトサイドを果敢に放つ。セットプレーは3Pショットを狙ったデザインで新生”宮城MAX”のカラーが見えた。
一貫したチームオフェンスの中でスペースを広く使った事でスクリーンプレーやペイントアタックが要所で決まる。その結果、相手のファウルを誘い出しフリースローを9本獲得。FTRも14.3%と10%近く相手を上回り、センター陣の活躍が光った。